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[ヌードさん] 橋本与志夫、筑摩書房 1995.4.25 より
【活字情報】
「評判ストリップティザー告知板」
その昔、アメノウズメの裸踊りをやんやと囃したてたヤマト民族も、
時代の下るにつれてチラリの赤、
ホラリの白などと至極微細な「情趣」に移り馴れてしまったらしい。
そんな所へ戦後俄にアメリカ、フランス直輸入の、
ひどく開放的なストリップ・ショウが現われたので、
演る方も観る方も板につかず、
片や震えれば片や唾をのむという珍妙な雰囲気醸成とあいなったものとみえる。
しかし時移り日流れてここに登場の諸嬢の如きは「些か男性の本能を刺戟しつつ、
同時に姿態と踊りの美を味わわせよう」と本来のメンモクに徹しつつあると承る。
かくなる上は観る方も、
帰りの満員電車内のイタズラで鬱憤をはらすなんてケチなたくらみや、
「そもそもストリップとバーレスクの相違は…」なんてヤボな議論はやめにして、
その場限りの刺戟と観賞を朗らかに楽しみ、舞台から投げられた花の一つは、
微笑んで胸に挿すくらいのユトリとエチケットは養ってもよかろう。
伊吹マリさん(25)
東京千住生れ。浅草見物が昂じて潤徳高女を中退。
吉本ショウに飛びこみ、三年間は研究生活。
戦前はシミ金一座などにおり、
終戦後、浅草大都劇場におちつき、ストライキで解散後、
去年十月「ヒトにすすめられて」横浜でストリップの初舞台をふんだ。
大泉映画「東京ルンバ」に出演、好評に気をよくしたか、
次の映画「海を裂く女」にも契約済み。
「将来は映画でゆきたい」の打ちこみぶりだけに
「ストリップは現在もう限界じゃないかしら」とひどく冷淡。
ヴィヴィアンヌ・ロマンスやデイトリッヒのファンで
「所詮、家庭の主婦向きじゃないわね」
恋愛経験は「皆忘れちゃった」ほどあったらしい。
一日三千円の収入でアパートの一人暮らしだが
「生活費に四五万、衣裳代その他で差引きゼロ」と念を押すのは、
前年度所得税十六万円未払の辞と聞える。
[喜六注]シミ金:本名清水金一。昭和の浅草を代表する喜劇俳優。
「アサヒグラフ」1950年6月28日号より
(原文は字空けのみで区切られているが、適宜句読点と改行を加えた)
[情報提供:喜六](2004.11.24)
昭和26年(1951年)
内外タイムス紙がストリッパーの読者人気番付を発表。
1位・ハニーロイ、2位・吾妻京子、3位・伊吹マリ。
(略)
昭和33年(1958年)
伊吹マリが引退。銀座でバーを開店。
[性風俗写真館2]「赤線・ストリップ時代編」広岡敬一
イースト・プレス 2003.10.20より(2004.01.19)
1950(昭25)6月 東映『東京ルンバ』出演
[ヌードさん]橋本与志夫、築摩書房より