この病気は感染するとあっという間に発病する。 発病したら最後、二度と元の生活には戻れず、一生の大半を劇場で過ごすことになる。 恐ろしい病である。 私の知人でAという人がいる。 彼は私と同じ頃感染し、ともに発病した重傷患者であった。 その彼がある日突然劇場に来なくなった。ある踊り子さんの引退がきっかけであった。 「俺はもう足を洗った」と言ってこの世界から消えたのが1年以上前で、 その時はストリップ病も治ることがあるのだと、私は認識をあらたにした。 ところが先日私はある劇場で彼を見つけた。 「暇だったのでちょっと覗いてみただけ」と彼は言っていたが、 帰りがけ、ロビーに置いてあった割引券を、 ポケットに数枚ねじ込んでいるのを私は見逃さなかった。 彼は間違いなく再発したのだ。やはりこの病気は完治しないということだ。 一度発病したら無駄な抵抗はせず、心の赴くままに劇場に通い、 静かな余生を送った方が賢明だと思う。
[舞太郎](1996.05.07)