ご存知のようにここ1〜2年程で携帯電話が急激に普及した。 踊り子さんの世界では世の中の普及より一足早く広がっていった。 これは彼女達の生活を考えれば納得のできることだ。 携帯電話のなかったころは、 踊り子さんの行方を把握するのに苦労したものだ。 どこにいるか分らない時は、 各劇場に電話をかけまくったり、本当に大変だった。 現在では彼女達がどこにいようとひとつの番号にかければよい。 もっとも都市部の劇場は、 地下など電波の届かない場所も多いので必ずつながるとは限らない。 それでも以前よりはずいぶん楽になった。 こちらからかける場合だけでなく、逆の場合でも楽になった。 例えば彼女達から会社などに電話がかかってきたときなど、 何度か恥ずかしい思いをしたことがある。 彼女達はいつも交換手に自分の名前をフルネームで告げるのである。 私のところに転送されてくる時は 「○○○様からお電話です」と言われる。 この○○○のところに踊り子さんの名前を入れてみると、 結構妙なものだ。 一般にありそうな名前ならまだよいが、 全部カタカナの名前だったりすると冷や汗が出た。 今から思えば楽しい思い出だ。 携帯電話による連絡の安易さが、良い面でも悪い面でも、いろいろな意味で、 踊り子さんとお客さんの関係を変えはじめている。
[舞太郎](1996.08.06)