昨日、シアター上野に行った。一回目から三回目まで堪能させてもらった。 三回目にはさすがに疲れが出てきて後ろの方でボーっと観ていた。 スローなベッドミュージックを聞きながらいろいろなことが頭の中を巡って行った。 会社を休んでストリップを観ている自分に、 少しやましさがあったのか、ふと祖父の言ったことを思い出した。 彼は死ぬ直前、体の弱かった私に対してこんなことを言った。 「お前は勉強などせんでいい。ものごとを一生懸命やる必要もない。 人より遅れたらその分長生きすればいい。 空に浮かぶ雲のようにふわふわ生きて行くのが一番だ」 祖父の言いつけを守っているつもりではなかったが、 結果的にふわふわ生きているなあと思い苦笑した。 続いて雲というキーワードから、ひとつの詩を思い出した。 高く さりげなく 大空の まほらをわたる 雲のごとくに ひとり湧き ひとり傷つきぬ わがこころ 手元に原文がないので正確性には自信がないがこんな感じだったと思う。 半世紀程前に父が書いた小説の冒頭に出てくる詩だ。 私が読んだのは高校生の時だから十数年前になる。 なぜかふと記憶がよみがえってきた。 祖父の言う雲と父の詩の雲となに関連があるのかなあ、 それとも単なる偶然か?・・・などと、思いは巡って行った。 なんだか感傷的な気分になってしまった。 ストリップを観ながらこんなことに思いを巡らせているのは私だけかもしれない。 私にとって劇場というところはなぜか安らかな気持ちにさせてくれる場所である。 これも女性の裸体に潜む母性の力なのだろうか。
[舞太郎](1996.09.10)