絶句

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 1997年元旦、大好きな踊り子さんに電話した。新年のご挨拶をするためだ。

電話口の元気な声を期待していたのだが、

予想に反して彼女は私の声を聞いたとたん涙声になった。


「元旦からどうしたの? 喧嘩でもしたの?」

「違う」

「じゃぁ何?」

「・・・・ステージで失敗しちゃった」彼女は小声で答えた。


 私は絶句した。

いつもオチャラケな彼女がステージの事で悩んで落ち込むなんて、

考えもつかなかった。それも元旦に。


「適当にやれば良いじゃん。

 新年早そうそんなに気合入れなくても誰も文句言わないよ」と慰めるつもりで言った。


「文句言われなくても納得できないステージだとすごく悲しいの。

 これが私の仕事だし、新年早そう見に来てくれたお客さんに申し訳ない」


こんなことは私も充分理解している。それにしても普段の彼女の言葉ではない。


 涙声でポツポツと出てくる彼女の言葉に熱いものを感じて本当に嬉しくなった。


「今からそっちへ行こうか? なんだったらレッスン手伝おうか?」

「いいよ、どうせ他の子の所をまわるんでしょ。

  私のことなんかどうでもよいくせに。無理しなくていいの」

絡まれて喧嘩になるのが嫌だったので、

私は「そうか、それじゃ頑張ってね」とあっさり答えて電話を切った。


 後日再度電話したらかなり元気になっていた。

まだ満足できていないようだが、一安心。


「あの時、すぐに駆けつけて来てくれたらポイント高かったのに」

「ボクは人が落ち込んで泣いているときにポイント稼ぐようなことはしないの。

  口説くときは正面から挑む主義なの」と冗談半分、こじつけの言い訳をした。


続けて出た彼女の言葉に私は再度絶句した。

「じゃあ、今度は正面からちゃんと口説いてよ」

[舞太郎](1997.01.15)


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