職場の仲間の新年会の後日談である。 私の先輩のN氏は翌朝ホテルで目覚めた時、昨夜の記憶がないことにあせったそうだ。 彼はK姐さんに失礼なことをしたのではないか、 しいては私に迷惑をかけたのではないかと気になった。 実際にはそんな心配は無用だったのだが彼はそのままホテルの近くの花屋に出かけ、 楽屋のK姐さん宛てに感謝とお詫びの意味を込めて花束を贈った。 彼からその話を聞いた時、踊り子さんや私に気を遣ってもらったことを嬉しく思った。 さっそく楽屋に電話して状況を聞いたところ、みんなで大笑いしたらしい。 N氏と花束があまりに結びつかないと、かなりウケていたそうだ。 しかし、気持ちはちゃんと伝わっているようだった。 日本人はそもそも贈り物をするのが苦手な民族である。 なにかの行事にかこつけなければ、ほとんど人に物を贈る習慣がない。 クリスマスやバレンタインデーがこれほど商売と結びついた年中行事となっているのも、 正せい堂どうと贈り物ができる機会が与えられるからである。 お中元やお歳暮も同様である。 そんな中でN氏の花束は似合う似合わないの問題は別として、 感謝の気持ちを素直にあらわした素敵な贈り物に思えた。 「うーん、彼もなかなかやるなぁ」と感心した。
[舞太郎](1997.01.22)