踊り子さんの身の上話を聞いた。 普段は立ち入った話を聞かない主義だがなぜか聞いてしまった。 私に話してもどうにもならないことを承知で話したのだろうから、 私も聞き流すつもりでいた。 しかし、聞いているうちに何かやるせない気持ちになってきた。 私も苦労をしてきた人間なのでたいていの問題に対しては悪い方に考えず、 前向きに向かって行く性格だが彼女の話はそんな私をも打ちのめした。 なんとかならないのか頭をフル回転させたが解は見つからない。 私にできることは何かないのかも考えた。答えは「何もない」だった。 話し疲れたのか彼女は助手席で寝息をたてていた。 そんな彼女の無垢な寝顔を見ていると、 世の中の不条理さと自分の無力さに激しい怒りが込み上げてきた。 「仕方がない」という言葉はだいっ嫌いだが仕方がない。 これからも今までと変らず、彼女は明るくステージに立ちつづけるだろう。 大きな重い運命を背負いながら。
[舞太郎](1997.02.16)