マイッタ

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 先日、温泉街の本番小屋に行く機会があった。

メンバーは天狗の日本人お姐さん2人と

外国人の踊り子さん4人の計6人で3000円という、

価格の割には充実した内容であった。

日本人のお姐さんはそれ相応の年齢の方達だったが、

外国の方は若くて奇麗な方が揃っていた。

そのなかの一人を気に入ってしまった。


 最初(おっ、かわいい!!)と思っていた程度だったのだが、

見ているうちにだんだんと相手からの視線も感じるようになった。

完全に思い過ごしだと思っていたけど、オープンの時、いきなり私の耳元で、

「外で待ってて」と言い捨てて行ってしまった。

唖然とするとともによくある客引きかと思いつつも、

言われた通りに外に出てしまった。

こういう行動をとるのが私の特徴である。


 しばらくするとさっきの彼女が出てきた。

私はいきなり「お金持ってないよ。ほらこれだけしかない」と

財布の中を彼女に見せた。

本当に持ち合わせがなかったのだ。

彼女は「お金じゃない。デートしよう、食事しに行こう」と言った。

なんか警戒しながらも言われるままに彼女と連れ立って、

マクドナルドへ行き、チーズバーガーを食べた。

これも私らしい行動パターンである。


 そしてそれがきっかけで彼女と他劇場に出ていた数人の彼女の友人達とで

深夜まで過ごすことになってしまった。

私には奥さんがいてそのほかにも好きな人がいると言っても、

彼女は

「いいの、あなた良い人、私、わかる。あなた私の恋人」と繰り返す。

悪い気はしないが参った。


 それからいろんな話を聞かされた。

ストリップとながく関わってきた私にとってもまったく知らないことだらけだった。

奥が深い。

 私の名前を聞かれ、舞太郎の名刺を出して、

「ま、い、た、ろ、う」と言うと彼女達はどうしてもこの発音ができない。


「マイッタ、マイッタ」と呼ぶのである。これにも本当に参った。


 楽日で移動のため夜行電車に乗る彼女達を駅まで送った。

 別れ際に彼女が「マイッタ、明日仕事ある?」ときいた。

「あと4時間ぐらいしたら仕事に行かなくちゃ」と答えると、

彼女は目をまるくして、

「仕事ある知らなかった。遅くまでごめんなさい」と言い、

「ちょっと待ってて」という言葉を残して走り去った。

しばらくして暖かい缶コーヒーを片手に戻ってきた。

「これ飲んで気をつけて帰って・・・」

 私はこういうのに弱い。参った参った。

極めつけはいきなり抱きつかれ唇を奪われてしまった。

今までにも踊り子さんとこういう事はなかったわけではないが、

それはお互いにかなり酔った時のことである。

しかし今回は違う。本当に本当に参った。

「また電話する」と言って、ホームに消えた彼女の後姿を見つめながら、

この数時間の出来事を思い起こして複雑な心境になった。

(なんかノロケ話みたいになってしまったがご勘弁を。 

 私はこういう事態に対する免疫があまりないのでこの先が恐い。)

[舞太郎](1997.04.11)


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