久しぶりにまともな休日となった土曜日、 地図を眺めながらどこの劇場へ行こうか思いを巡らせていた。 いろいろ迷った挙げ句、群馬県のある温泉地の劇場に決定した。 大好きな姐さんがのっているという情報を得ていたからだ。 あの姐さんがあんなに小さな小屋でどんなステージをやるのか見てみたいと思った。 別の劇場にのっている踊り子さんに電話をかけた。 もしかしたら週末に行くかもしれないと言ってあったので一応断りの電話である。 「悪いけど今日はそっちに行かないから」と私が告げると、 「来ないの?・・どうして?・・」 「またそのうち見せてもらうよ」 「どうせ週末しか時間がないんでしょ」 確かにそうだ。 最近仕事にはまっていてウィークデイに休むことは不可能な状態なのである。 「私、来週は休みかもしれないし、当分会えないかもしれないよ」 今日の彼女は妙に絡んでくる。 「具合でも悪いの? なにか今日は変だよ」 彼女は無言である。 「もしかして僕に会いたいってこと?」 「ふざけたこと言ってるんじゃないよ。 私をはめてなにか言わせようとしているな、まったくこいつは」 「なにかってなんだよ」と今度は私が絡んだ。 彼女はまたもや黙ってしまった。 「そういうことならそっちに行くよ。 今から車で飛ばして行っても間に合うかどうか分らないけど。とにかく行くよ」 「そういうことっていうのがどういうことか知らないけど待ってる」と彼女は笑った。 このやり取りがきっかけだけど彼女の新作も見ておきたいという思いもあり、 急遽行き先を変えて高速をひた走ることになった。
[舞太郎](1997.04.13)