褒める

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 ここ数年、叙勲についての議論が活発になってきている。

作家の大江健三郎さんが文化勲章を辞退したのをはじめ、

当時厚生大臣だった井出さんが

「人に等級をつけるのはいかがなものか」と発言し、物議を醸した。


 私にとっては勲章なんてどうでもよいことだが、

当事者たちにとってはかなり大きな事らしい。

私は数年前の5月に結婚をしたのだが、

披露宴でスピーチをお願いしていた親戚の叔父さんから急遽断りの連絡を受けた。

事情を聞くと勲二等を貰って皇居に行く日と重なってしまったということだった。

私の親戚は公務員が多いせいか、家に遊びに行くと、

額に入った勲章が飾られているところがある。

私にはその価値はまったく理解できないがその飾られている位置から推測すると、

御本人達にとってはかなり大切なものらしい。

話を聞くと勲二等とか勲三等とかいう等級も重要らしい。


 昨日テレビチャンピオンで甘味の大食い大会をやっていた。

優勝した女性(赤坂さんだっけ?)が涙を流していた。

私は笑いながらも感動した。筋肉番付なんて番組も流行っている。

人間は他の人との差別化、競争が好きな動物だと思う。


 数日前、私はこのコーナーで、

ある姐さんのステージを見て“No.1”という表現を使った。

それに関して

「踊り子さんについて順位をつけるのはいかがなものか」

というお叱りを複数の方から頂いた。

劇場の企画で人気コンテストとかがあったりして、

ファンの方達もこういう表現に敏感になっておられるようだ。

ちょっと弁解じみたことを言わせてもらえば、

“No.1”も素晴らしさをあらわす形容詞で“最高”と同じ感覚で使った。

“最高”という表現自体も問題なのかもしれないけど。


 “人よりたくさん食べることができる”とか

“人より速く走ることができる”とかで

人間としての価値が決るとは思わない。

だけど、その一項目の関しての成果はおおいにたたえるべきだと思う。

人気作家がノーベル賞を貰うことはまずない。

逆にノーベル賞作家が人気番付に登場することもない。

「人気作家とノーベル賞作家のどちらが作家として上か」

なんて議論が無意味だと思うのは私だけではないだろう。

“人気がある”という項目に関しては人気作家が上、

“芸術性が高い?”という項目に関してはノーベル賞作家が上なのだろう。


 このあたりについてまわりが勘違いをしているように思う。

「100m走、金メダルと銀メダル、どちらが“偉い”か?」

答えはどちらも偉くない。

金メダルの人が銀メダルの人より100mを速く走ったというだけなのだ。


 私はいろんな人がいろんな人をたたえることは、悪いことではないと思う。

褒める方も褒められる方も“誰が誰を褒めているのか”ということは重要ではない。

“自分は誰をどういう点で褒めるか”、“自分は誰にどういう点で褒められているか”

という部分に関心がゆくようになれば、みんなが幸せになれると思う。


 褒められることは嬉しいことである。

褒めることは褒められる人にエネルギーを与える。これが褒めることの重要な点だ。


 いろんな観点で多くの人を褒めましょうよ。人を褒めることにためらいはいらない。

[舞太郎](1997.05.04)


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