私にとっての音楽とはステージとその時の感動を、 ぎっしり詰め込んだ“思い出のアルバム”である。 先日ある劇場である人のステージが始まった瞬間、なんともいえない感情にみまわれた。 まだステージが暗転したままで、イントロの曲が流れはじめた時にである。 なにが起こったのか自分でも混乱した。 そしてハッと気がついた。 「Sちゃんがオープニングで使っていた曲だ」 私にとっては、少し甘くそして切ない思い出がしっかりリンクしている曲である。 本当に久しぶりに聞いた。 ほとんどの新しい曲を劇場で覚える私には、 曲とステージの記憶の間に密接な関係ができてしまう。 頭で記憶するというより、体で覚えてしまうのだ。 それは踊り子さんにとっても同じことが言える。 踊り子さんと劇場の外でいっしょにいたとき、その場所のBGMが変わった。 彼女は立ち止まり、ちょっとぼんやりしながら、 真顔でポツリと「ベッドしなくっちゃ」と言った。 それは以前、彼女がベッド曲として使っていたものだった。 受けを狙うというより反射的に出てきた言葉に思えた。 その後、二人で大笑いしたけど。 音楽ってそういうもんだと言ってしまえばそれまでだが、 ストリップファンにとって刷り込まれた感情を呼び起こす重要なキーの役割も果たす。
[舞太郎](1997.08.24)