惜しまれながら辞めていったKちゃんから連絡があった。 昔は頻繁に連絡を取り合っていたが引退してから疎遠になった。 あまりきれいな辞め方が出来なかったせいもあって、 踊り子時代の人間関係を彼女の方から断ったのだ。 彼女の携帯の番号も変わり、私にしてみれば、思い出の中にしまい込むしかなかった。 そんな彼女がお客である私のことを覚えていてくれて連絡してきたのだ。 昔話に華が咲いた。 とにかくめちゃくちゃな時間をいっしょに過ごした仲間である。 よく笑ったし、よく喧嘩した。 「あんたは昔から親爺だったけど、わたしもおばさんになってきた」 なんて言ってるから、彼女の歳を頭の中で計算してみた。20代半ば過ぎである。 「年齢からいったらまだまだ現役バリバリだよ、もう一度戻ってこない?」ってきいたら、 「考えないわけじゃないけど、やっと辞めたんだもん。 もう戻らないって決めて辞めたんだもん」 彼女は自分自身に言い聞かせるように呟いた。 毎日朝早くから仕事に出て、夕方いったん家に戻り、 その後もまたパートに出かけているそうである。 年下の若い彼氏の給料が少なく、 文字通り朝から晩まで働いても、生活するのがやっとだという。 飲みに出るなんてこともめったになくなったそうだ。 あれほど飲んで騒ぐのが大好きだった彼女がである。 「幸せなのか?」ってきいたら、 「わかんない」って答えた。 ちょっと間をおいて、 「踊り子時代のように派手な生活は出来ないし、楽しいこともない、 でもこれが普通の人生なんだよね。わたし普通の生活してんだよ、普通なんだ」 噛み締めるように何度も何度も言っていた。
[舞太郎](1999.9.9)