怖いお話である。 山手線に乗って出口近くのポールにつかまって立っていた。 さほど混んではいなかったが座席は埋まっていた。 窓から外を眺めながら目的地のことを考えていた。 ポールを握っていた右手にふと違和感を感じて振り返った。 おばはんが私の手の上からポールを握っていた。 揺れた拍子にそうなったのかよそ見をしていてそうなったのかわからない。 60過ぎのおばはんが私の手を握っていた。 私と目があって彼女は手をはなした。そして無言でニカッー!!と笑ったのである。 その微笑みを見て背筋がゾッとした。なぜだかわからないが本能的にゾッとした。 おばはんの前歯は金色に光っていた。
[舞太郎](1999.10.02)