ここ数年、私は何個も腕時計を買っている。 別に集めるのが趣味なわけではない。すぐに飽きてしまうというわけでもない。 劇場で手拍子をするとすぐに壊れてしまうからだ。 一つ前のは手拍子の最中にガラスが吹っ飛んでしまった。 安物はいくつ買ってもだめだと思い、今度は意を決して、 私にとっては大奮発の、大枚7万円ちょっとを出して買った。 でもやはり不安があり、手拍子をする時は外すことにしていた。 先日、ラストステージのオープンを残すのみとなったので、 帰り支度を始め、腕時計をはめた。 オープンのときは普通に手拍子した。その日はそのままなにごともなく家に帰った。 翌日の朝、会社に着いてからふと腕時計をみてなにか違和感を感じた。 ケースの中にキラキラ光るものが不自然な動きをしている。 よくよく見ると秒針が軸から外れ、ケースの中を動き回っていた。 (また、やってしまった!!) 慌てて時計屋に持っていくと千円で直してくれた。ちょっとホッとした。 やはり壊れるのは値段のせいじゃなく、 手拍子の衝撃にはもともと耐えられないものなんだと認識を新たにした。
[舞太郎](1998.10.15)