最後のステージ

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  昨夜は眠れなかった。

高速を飛ばして自宅に戻り、寝床にもぐり込んだのが真夜中だったこということもある。

でももっと大きな理由はある踊り子さんの引退ステージを拝見したからだ。

その方はこの世界で確かな足跡を残された。

そして昨日が最後の最後のステージとなった。


 多くの追っかけさんのセレモニーを想像していた。

しかし、現実は普通の楽日、

それも日曜日の最終ステージ、閑散とした中であっさりと終わった。

他の踊り子さんの追っかけさんは、たくさんいらっしゃたが、

御本人のお客さんはいらっしゃっていなかったように思う。

花束ひとつなかった。


 もしかして辞めることをお客さんにはもちろん、

劇場関係者や今週いっしょだった踊り子さんにも告げていなかったのかもしれない。

  彼女は私だけに伝えたの?

それとも私の勘違い?  からかわれたの?

勘違いや冗談だったらどんなに嬉しいことだろう。


  3回目のステージが終わり、フィナーレ。私はやりきれない気持ちで劇場の外に出た。

夜の街を歩きまわった。なんとなく見るのが辛かったからだ。

(でもやっぱり最後は見届けなくっちゃ)と気を取りなおして劇場に戻った。

 
  4回目、いよいよ最後である。やわらかな美しい動きの中には、気迫を感じた。

最後に盆から本舞台に戻る途中、私に

「ありがとうございました、お元気で」と言葉をかけてくださった。

瞳はちょっと光っていた。私も・・・・。


 本当に長い間お疲れ様でした。お元気で。


[舞太郎](1998.12.21)


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