先日、ボーッとステージを眺めていると、ある踊り子さんの立ち上がりの時に、 客席から「Aちゃーん!!」という黄色いオヤジの声がした。 私はハッとなった。 掛け声ぐらいは聞き慣れているがステージにいるのはBちゃんだったからだ。 (やばいよ、名前を間違えるなんて・・・)って思いながら、 叫んだ人とBちゃんの顔を交互に見た。 場内も一瞬凍りついた。 しかし、Bちゃんは本舞台に戻りながら、 「ばかやろーっ!! 本名で呼ぶな!!」って笑いながら叫んだ。 場内はどっと笑い声に包まれた。 叫んだ人の方を見ると、左手で口を押さえながら右手で頭を掻いていた。 (なんだ、そういう間違いなのか。) 私も呼び名でよく失敗する。 改名した人に古い名前を言ってしまったり、 ベテランの姐さんに「○○ねえさん」って言って、 「『ねえさん』はやめてよ。年寄りみたいじゃない」なんて叱られたり、 逆に「○○ちゃん」って言って、 「もう、『ちゃん』付けで呼ばれる年じゃないよ」って叱られたり、 この世界での呼び名は、ほんとうに難しい。 なかには、 「舞台をおりて外で会う時はストリッパーのCではないから、 本名のDって呼んで欲しい」なんて言う娘もいる。 こうなると混乱の極みである。 相手は自分のことだから、切り替えに慣れているかも知れないが、 こっちはそう簡単に区別できない。 ついつい「C」って言ってしまう私にたまりかねて、 「外でCって5回呼んだら、1回遊園地に連れて行くこと!!」 なんて罰まで言い渡されてしまったこともある。 その後1時間ぐらいの間に10回程の遊園地行きが決った。 もちろん1回も行っていないけど。
[舞太郎](1998.4.27)