数年前までは、 「ここ1年くらい一週も休みを取っていない」なんていう踊り子さんも何人かいた。 最近はこういう話をまったく聞かなくなった。当時とは状況が確実に変化しているようだ。 良かった時代を経験した人たちは、今の状況を、 「自分の価値が落ちてきた」と感じているようだが、それは違う。 環境が変化しただけのことである。 先日、この道十数年というベテランのお姐さんと食事に行った時にもこの話題が出た。 「パーッと売り出しちゃった子はこういう状況だとプライドもあるし、 後がキツイかもしれないね。 私はステージが生きがいだし、仕事がしたいから、 場合によっては普段の半分のギャラでもOKするときもあるよ」 なんておっしゃっていた。 人によって事情はいろいろだし、特にギャラの話はそう簡単にはいかない。 コースによっては、一度下げたらそれ以降の『その人の定価』に なってしまう可能性が高いからである。 いろいろ難しい。 今の日本の状況がこんなんだし、悪い皺寄せが、 影響の受けやすいストリップ業界にも及んできている。 劇場も踊り子さんも厳しい状況なのだ。 「今回の衣装は地味だね」とか、「まだ、コースが決まらないの」とか、 「ちっとも連絡してくれないね」とか、 心無いお客のひと言が彼女たちを傷つけることもある。 しみったれた話をするつもりではないが、 何十万円もするスパンキラキラ、羽根フワフワなんて衣装は、 なかなか作れなくなってきたのも事実である。 電話代だって馬鹿にならない。 彼女たちのプライドを傷つけないようにこれをやるのは注意が必要だが、 私なんかにかけてくれた場合には、 できるだけ一度切ってこちらからかけなおすことにしている。 そこまで気を遣う必要はないかもしれないが、 でも、これは私にできる小さな応援のひとつであると思っている。 踊り子さんのひと言がお客にとって負担になる場合もある。 「最近、見に来る回数が減ったね」とか、「昔は遠くまで来てくれたのに」とか。 お客の状況も変化してきているのも知って欲しい。 私なんかも自由になるお金はかなり減ってきた。 ストリップがこの時代を乗り切るためには、劇場、踊り子、お客を含めた関係者の、 お互いのちょっとした心遣いが有効である。 弱い人、困っている人を気遣う。 これは昔から人情味があるこの世界の人たちにとって、 そんなに難しいことではないはずである。
[舞太郎](1998.5.3)