暗示

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「ストリップ・ファンの三大法則って知ってる?」

Kちゃんが唐突に言った。


「あのね、あんたにも当てはまることだよ。

  前まえから思ってたんだけど、最近確信したんだ」


「どうせろくなことじゃないんだろ?」と私がこたえると、

Kちゃんは嬉しそうにしていた。


「どうしたんだよ、はやく言えよ。言いたいんだろ」


「どーしよっかなー、

 でもせっかくだから教えてあっげっる」


恩着せがましくKちゃんは言った。


「ストリップの追っかけさん達って外見的な特徴がない?

  ねっねっ、知っている人を思い浮かべてみてよ。 

 わかるでしょ?


  まず第一に背の低い人が多い。

  第二に太った人が多い。

  第三に髪の毛の薄い人が多い。


  ねっねっ、そう思うでしょ。

  三つとも当てはまる人は少ないけど、

 どれかに当てはまる人って多いでしょ。

  これがわたしの発見した、ストリップ・ファン

 “チビ・デブ・ハゲ”の三大法則」


Kちゃんは得意そうにあごを突き出した。

どうせこんなことだろうと思ったけど、やはり悔しい。  


私も反撃に出た。

「踊り子さんの方だって法則があるよ」


「なーによぉー、言ってごらん。

 なにがあるのよぉー」


口を尖がらせながら、ちょっと不安そうな顔をした。


「引退して結婚する相手に、

 “チビ・デブ・ハゲ”が多いってことさ」


Kちゃんはちょっと上目遣いに考えていた。


「そうかなぁー。 

 そういえばそういう気もするけど

 ちょっとこじつけじゃない」


「そんなことないって

 F姐さんとこもE姐さんとこもそうでしょう」


「そう言われるとそういう気がしてきた」


Kちゃんはしばらじっと考えていた。

そしていきなり口を尖らせて笑い出した。


「あんた、わたしに暗示をかけようとしているでしょ。

 もー、くやしい。

  危うく、あんたの策略にはまるところだった。 

 危ない、危ない」


そう言いながら、私の薄い頭をペチペチ叩いた。

 
暗示にかかりやすい素直なKちゃんへの反撃は

失敗に終わってしまった。


[舞太郎](1997.12.10)


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