[舞姫一覧] [homepage]
ミス池上(みすいけがみ)
【活字情報】
「評判ストリップティザー告知板」
その昔、アメノウズメの裸踊りをやんやと囃したてたヤマト民族も、
時代の下るにつれてチラリの赤、
ホラリの白などと至極微細な「情趣」に移り馴れてしまったらしい。
そんな所へ戦後俄にアメリカ、フランス直輸入の、
ひどく開放的なストリップ・ショウが現われたので、
演る方も観る方も板につかず、
片や震えれば片や唾をのむという珍妙な雰囲気醸成とあいなったものとみえる。
しかし時移り日流れてここに登場の諸嬢の如きは「些か男性の本能を刺戟しつつ、
同時に姿態と踊りの美を味わわせよう」と本来のメンモクに徹しつつあると承る。
かくなる上は観る方も、
帰りの満員電車内のイタズラで鬱憤をはらすなんてケチなたくらみや、
「そもそもストリップとバーレスクの相違は…」なんてヤボな議論はやめにして、
その場限りの刺戟と観賞を朗らかに楽しみ、舞台から投げられた花の一つは、
微笑んで胸に挿すくらいのユトリとエチケットは養ってもよかろう。
ミス・池上さん(23)
東京神田の生れ。十四歳で吉本ショウに入り踊り専門に勉強。
ストリップは一昨年
「裸になるのでは誰が一番魅力的か」という座員投票で最高得点を得て、
常盤座に出たのが初舞台と、自信のほどを示す。
現在は新宿セントラル劇場の専属。「私は専属だから安いのよ。
一日七八百円くらいかしら」と曖昧。
「新聞記者は悪口ばかり書くから大っ嫌い」と語気荒く
「生れてから恋愛は二度したの、二度だけ……
いま誰かといっしょになってるなんていう人もあるけどデタラメよ」と多くは語らず。
「お父さんが警視庁の偉い人なんかとも知り合いだし素顔写真はイヤッ」と
不承不承の一枚だけ。
東京荒川に親子四人暮しの由。
劇場事務員の言に曰く「大分ゴテられたようですね。定評あるんですよ。
だけどやはりファンは相当いるんです。不思議なものですネ」
「アサヒグラフ」1950年6月28日号より
(原文は字空けのみで区切られているが、適宜句読点と改行を加えた)
[情報提供:喜六](2004.11.24)
[池上好枝]
[舞姫一覧] [homepage]